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【不動産】アパートやマンションの賃貸で交わす「定期借家契約」について

【2019年10月7日更新】

アパートやマンション等、賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約(定期建物賃貸借契約)があります。

この記事では、

▶︎定期借家契約(定期建物賃貸借契約)

について記していきます。 

普通借家契約との違いとは?

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建物

この契約は平成12年に施行されたもので、今までの賃貸借契約(普通借家契約)とは違います。どう違うのかというと、更新がありません。

 

まずはこの定期借家契約の内容ですが、

  • 契約期間は自由に定めることが出来る(殆どが2年で契約する)
  • 普通借家契約は口頭でも契約できたが、定期借家契約はちゃんと書面で契約し、説明しなければならない。
  • 期間の満了によって確実に契約は終了し、法定更新(自動更新)は無い。

ということになっています。

 

普通借家契約では「契約の更新は、正当な理由が無い限り家主は更新を拒否出来ない」事となっていたが、この定期借家契約では「定めた期間の到来によって契約は終了する」こととなるのです。つまり、正当事由は必要ありません。なので、オーナーは「契約をしない理由を言え!」と賃借人に言われたとしても答える義務はありません。建物のオーナーは、何の理由もなく賃借人との契約を期間満了を以て終了させることが出来ます。

そして、期間満了時には確実に契約は終了するので更新という概念がありません。借主が契約期間満了後も同じ部屋に住むためには新たな契約を締結する事で継続して住む事が出来ます。これを再契約と言います。

以前の契約期間は終了して、新たな期間を契約して住むということです。←これを理解していない人が多い。

定期借家契約において、契約期間が満了していたら、契約が切れている状態という事です。普通借家契約にはあった自動更新(法定更新)はこの契約には無いのです。

さて、定期借家契約を更に細かく見てみましょう。

契約締結

定期借家契約を締結するには、必ず書面で契約して、契約前に説明を行う事が要件となっています。これは借地借家法第38条1〜2項に記されています。説明は賃貸人(オーナー)が行うこととなっていますが、賃貸人は代理人にその説明をさせる事ができます。例えば、賃貸物件は大阪で、オーナーは東京住まいだと説明は難しいでしょう。実務的には不動産会社が代理で説明します。

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。

 引用元:「借地借家法第38条 - Wikibooks」 

 

上記の文を捕捉します。この文章を読んで、「必ず公正証書で契約しないといけない」と考える人がいます。そうではなくて、この契約は書面であれば良いのです。文章が「公正証書によって 」となっていれば必ず公正証書で契約を行うことが要件となりますが、ここでは「公正証書による等書面」という言葉になっていますね。これは書面であれば良いということです。日本語は難しいですねw

この言葉の違いは宅建の試験でも活用できる知識です。宅建試験はこういう引っ掛けが多いのでね。

さて、文中に出てくる第三十条の規定についてもみてみましょう。

第三十条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

引用元:「e-Gov法令検索

借地借家法第二十六条から三十条までが一つの節になっています。各条についてざっくり書き出します。

  • 第二十六条 通知をしない時は法定更新するよ
  • 第二十七条 通知したら6ヶ月後に契約終了するよ
  • 第二十八条 正当事由が必要だよ
  • 第二十九条 契約期間が1年未満だったら期間の定めがない契約とするよ 

こういったことを一旦無視して契約ができるよという事。

26条は通知を忘れていても法定更新はされず、契約が切れた状態。27条は1年前に契約終了の通知して6ヶ月後に終わらないようにという事だろうな。28条は再契約拒否しても正当事由は必要ない。定期借家は契約期間は自由に定められるので、半年でも3ヶ月でも1ヶ月でも契約できるという事。

 

再契約

オーナーや管理会社としては、期間が満了する1年前〜6ヶ月前に契約終了(今回の契約期間が満了する)の通知を賃借人に出すことになります。

通知を忘れることもあるでしょう。それを忘れていたからといって法定更新されるものではありません。契約期間が終了後に通知をした場合、相手に通知した日から6ヶ月経てば契約終了を主張できます。これは、賃借人に次の移転先を探すための期間(6ヶ月)を与えることが目的です。

第三十八条 四項   第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六ヶ月前までの間(以下のこの項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りではない。

引用元:「e-Gov法令検索」 

 ついでに判例も載せておきましょう。

▶︎「定期建物賃貸借契約の終了にあたり、賃貸人が契約期間満了後に終了通知をした場合でも、通知の日から6ヶ月を経過した後は契約の終了を賃借人に対抗できるとされた事例/東京地判平成21・3・19」

最後に

再契約を行う際は書面を交付して定期借家契約についての説明をすることになります。

ここからは、この記事を見ている方が賃借人ならば定期借家にイヤ〜な印象を持つかもしれません。この契約は新たな契約となるので、以前の契約と内容・条件が変わってもおかしくありません。普通借家では法定更新だと契約内容が同一条件で更新されますが、定期借家は違います。オーナーから新たな賃料や条件を提示されることもあります。また、通常、賃借人は不動産会社に再契約事務手数料というものを払うと思いますが、不動産会社は新たな契約なので再契約事務手数料を取らずに仲介手数料を請求することも可能です。