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【宅建試験対策!】民法の「意思表示」を初学者向けに分かりやすく解説

ちわ。SOです。

今回は、宅建試験対策として初学者向けに民法の"意思表示"を分かりやすく解説します。

宅建試験では大きく分けて民法・宅建業法・法令上の制限・その他の分野の4分野から計50問が出題されます。

  • 民法(14問)
  • 宅建業法(20問)
  • 法令上の制限(8問)
  • その他(8問)

合格するには50点満点中31点〜36点くらいの点数が必要です。※合格点は毎年変化するのでこの様な表示になります。

>>【宅建士試験】的中率の高い予備校の過去合格点予想と平均点データ - interest blog

この中でも理解するのに時間が最もかかる分野が民法です。ここを攻略しなければ合格は不可能と言っても過言ではない。他の分野は暗記も多く、詰め込み型の勉強法でも比較的得点を出せるが、民法は応用問題が多く、暗記ではなく理解が必要です。

初学者が民法をなかなか理解出来ない理由として、問題のイメージが出来ていないことが原因です。

そこで、この記事では

▶︎意思表示の基本的な考え方を分かりやすく解説

▶︎法律は誰を保護するのか?

これらについて述べていく。

1.民法解説

民法

法律(民法)は読んで字のごとく民の為の法律です。一般人の間のルールである事を理解しましょう。その民法には3大原則があります。

 

  1. 私権は公共の福祉に適合しなければならない
  2. 信義誠実の原則(信義則)
  3. 権利濫用は、これを許さない

上記を基本原則として、民法は1000条以上にも渡って細かく展開されていきます。以下では基本的な考え方を述べていきます。

※文中では専門用語も多く出てきます。以下の記事も参考にどうぞ

>>【宅建】民法初学者でもスッと理解する!よく使う用語解説 - interest blog

2.契約

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まずは基本的なところ、契約の中の売買契約*を理解しましょう。基本的に契約は、お互いの意思表示の合致だけで成立します。口約束でも成立するんです。

「家のテーブル100円で買う?」

「安っ!買う!」

これだけで売買契約は成立します。だが、口約束だけだと「言った」「言わない」「条件が違う」などのトラブルに発展する恐れもありますね。そこで、高価な買い物などは書面で契約して互いの意思の合致を証拠として残しているわけです。また、法律でも書面で契約する事を求めている契約もあります。

※民法では契約の種類が13種類あります。

 

3.意思表示

意思表示
さて、契約の項で「互いの意思表示の合致だけで契約は成立する」ということを説明しましたね。 意思表示にはいくつか種類があって、有効には成立しない意思表示もあります。次は、宅建試験で問われる意思表示について説明していきます。

 

心裡留保(しんりりゅうほ)

心裡留保は本当の意思とは違うことを表示する事です。冗談や嘘を言ったと思って下さい。上記の「テーブルの売り買い」の2人の会話を例にすると、売る側の女性(表意者)が冗談で「100円でテーブルを売る」と言っていた場合です。100円で売るつもりは無く、冗談で言ったとします。この場合女性の意思表示は「心裡留保」となります。

心裡留保は原則有効で、男性(相手方)が本気で100円でテーブルが買えると信じた場合、この取引を過失無く信じた男性を法律は保護します。逆に、男性が冗談だと気付いたり、知っていたり(悪意)、冗談や嘘だと知り得た場合(有過失)、契約は無効となります。

  • 相手方の保護:相手方が嘘や冗談について善意無過失で信じた場合、心裡留保での契約は有効
  • 無効となる場合:表意者の嘘や冗談について知っていた、知り得た場合(悪意又は有過失)は無効

 

さて、更に突っ込んだ話しをしましょう。

 

第三者への対抗

「格安でテーブルを買うからお前俺から200円で買う?」と、相手方が別の人に転売する約束をした場合です。 

A(心理留保)B(相手方)→C(第三者)

上記の流れになった場合。どうなるのか?がよく問われます。結論から言うと、第三者の状態によります。

Aの心裡留保をCが知っていた場合(悪意)は無効となり、逆に、例えAB間では互いに冗談でやり取りしていたとしてもCが知らなかった場合(善意)は有効で、Aはテーブルを失います。

  • 第三者が心裡留保について善意であれば有効となる

 

通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)

これは、相手方と通謀して虚偽の意思表示をする事。って言っても何のこっちゃ?ですよね。簡単に言うと、「2人で口裏を合わせようぜ!」ってこと。

例えば、

「ヤヴァイ!税金滞納で土地を差押さえされそうだよ」

「やばいな。じゃあ、売買したことにして、暫く俺の名義にしておこうか?」

ということです。

相手方と通謀して、本当は売買する意思が無く、仮装の契約をすることです。これには最初から互いに契約する意思は無いですよね。契約にはならないんです。契約は無効です。

  • 当事者間の効果:契約は無効
第三者への対抗

上記で会話をしていた男性がもしも女性を裏切って、自分に名義があるのをいい事に、第三者に転売した場合はどうなるか?がよく問われます。

A(通謀虚偽表示)B →C(第三者)

ここでも結論を先に言うと、こちらも第三者の状態によります。第三者がAB間の虚偽表示を知っていた場合(悪意)は無効となり、AはCから土地を取り返せるが、Cが知らなかった場合(善意)はB→C間の契約は有効になり、Aは土地を取り返せない。

  • 第三者が通謀虚偽表示について善意であれば有効

「そもそもAB間が無効なのにAはなぜ取り返せないの?」と言う意見もあるだろうが、嘘偽りの外観を作り出した人を法律は保護しない。この嘘の外観でも、信用して取引関係に至った者を保護すると思って下さい。

まぁ、常識的にも嘘や騙しをする人は保護する必要はないと思いませんか?

 

錯誤(さくご)

錯誤とは勘違いです。例えば、甲と乙という2つの土地を持っていたとして、本当は甲土地を売るつもりなのに、「乙土地を売るよ」と間違って相手に表示してしまった場合。基本的に錯誤は無効となりますが、これには条件があって、法律行為の重要な部分に錯誤がある事と表意者に重過失が無い事です。←重過失とは、不注意の程度が甚だしいということ。

  • 無効になる場合:重要な部分に錯誤がある事&表意者に重過失がない事
第三者への対抗

錯誤無効は善意の第三者にも対抗できます。言い間違ったり、勘違いしただけで財産を失ったら表意者が可哀想ですから。

  • 第三者が善意でも無効

詐欺(さぎ)

もしも騙されて意思表示をした場合がこれです。

例えば、

「近くにゴミ処理場建てるらしいからこの土地の価値は下がるよ。早く売った方が良いね(本当は違うけどね)」

「えっ!そうなの!?今のうちに売るか」

「少し安くしてくれるなら、私ソッコーで買うよ」

結論から言うと、詐欺による意思表示は取り消すことができます。男性は女性に対し意思表示の取消しをできます。

さて、ここで"取消し"が出てきましたね。無効と取消には明確な違いがあります。ここを区別して下さいね。

  • 当事者間の効果:詐欺による意思表示は取消し可能
取消し前の第三者への対抗

土地を手に入れた女性が別の人(第三者)へ売却していた場合、男性は詐欺を理由に土地を取り戻せるか?が問われることがあります。

A(詐欺による意思表示)B →C(第三者)

結論から言うと、こちらも第三者の状態によります。 第三者が詐欺について知らなければ(善意)法律は第三者を保護し、Aは土地を取り戻せません。逆に第三者が詐欺について知っていれば(悪意)、Aは土地を取り戻せます。

詐欺られた方が可哀想だという意見もあるでしょう。しかし法律は「詐欺に引っかかった方にも落ち度がある」という考え方です。

  • 第三者が詐欺について善意であれば有効となる

ニュアンスだけでも伝わるように、筆者が即席問題を作成しました↓

問題!Aは自身の所有する甲土地をBとの間で売買契約したが、のちにBの詐欺に遭ったことが分かった。すでにBは当該土地をCへ売却しており、CはBの詐欺について善意である。この場合、AはCに対して本件売買契約を詐欺を理由に取消すことができる。

↑こんな感じで問題は出ます。

ちなみに答えは、「取消しできません」

脅迫(きょうはく)

脅迫とは…説明しなくても言葉の意味は分かりますよね?

脅迫をされて成した意思表示は取消し可能です。自由を奪われて選択肢も与えられない状況下で意思表示するわけですから常識的に考えても有効になる筈が無いですよね。

  • 当事者間の効果:取り消すことが出来る
取消し前の第三者への対抗

脅されて奪われた土地を第三者へ転売された場合対抗できるか?

第三者に対しても取消しを主張できます。例え第三者が善意であろうと悪意であろうと取消し可能です。法律は脅された者を保護します。

  • 第三者が脅迫について善意でも取消しを主張できる

最後に

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ここまで意思表示について述べてきたが、これは全て基礎的な考え方です。※ここでは取消しや無効主張前の第三者を想定しています。「〜前の」と「〜後の」第三者では効果が違います。

この記事では、知識を0から1にするため、初学者にも分かりやすく表現したつもりです。後はもう少し踏み込んで、本格的に勉強して応用力を付けてください。

"意思表示"の問題でよく問われるのは第三者が登場する場面で、どんな場合に有効となるのか?どんな場合に取り消し出来るのか?どんな場合に無効となるのか?がよく問われます。これらはしっかり抑えておきましょう。

問題文にも慣れてないと、問題を読むだけで悪戯に時間だけが過ぎてしまいます。また、宅建試験の問題は過去問の焼き直しが多く出題される傾向にあります。試験日までに過去問を一つでも多くこなすことも重要です。